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2026.6.11

【久留米市の整形外科専門医が解説】事故直後は無症状?脳が痛みを隠す理由と現れやすい初期症状(雨天の事故シリーズ・第2回)

【久留米市の整形外科専門医が解説】事故直後は無症状?脳が痛みを隠す理由と現れやすい初期症状(雨天の事故シリーズ・第2回)

【久留米市の整形外科専門医が解説】事故直後は無症状?脳が痛みを隠すメカニズムと現れやすい初期症状(雨天の事故シリーズ・第2回)

 

交通事故に遭われた患者さまから、私たちは毎日のように様々なお声をお聞きします。 

「事故当日は何ともなかったのに、翌朝起きたら首が回らなくなっていた」

 「事故直後はどこも痛くなかったので物損で済ませてしまったが、数日経ってから頭痛がする、手足がしびれてきた」

なぜ、車同士がぶつかるほどの大きな衝撃を受けたにもかかわらず、直後は痛みを感じないのでしょうか。

今回は、交通事故の直後に体の中で起きている「脳の防衛反応」と、後遺症を残さないために絶対に見逃してはならない初期症状のサインを解説します。

【執筆者情報】

この記事は、福岡県久留米市安武町の「まつもと整形外科」院長 松本淳志(整形外科専門医)が監修・執筆しています。

交通事故によるむちうちやケガの治療、リハビリテーションについて、医学的な見地から正しい情報をお届けします。

久留米市安武町にある「まつもと整形外科」は、交通事故治療で毎年1000名以上の治療実績があります。

なぜ事故直後は無症状なのか?「痛くない=大丈夫」という危険な思い込み

 

事故直後に「特に血も出ていないし、傷もないし、痛くないから病院に行かなくていいや」と自己判断してしまうことこそが、交通事故において最も危険な思い込み(罠)です。これには医学的な理由があります。

アドレナリンによる「一時的な麻酔効果」

自動車の衝突という、人生で数回あるかないかの「命の危機」に直面したとき、人間の脳内は極限のパニック状態に陥ります。

このとき、恐怖やストレスに対抗するため、脳内からはアドレナリンエンドルフィンといった神経伝達物質が大量に分泌されます。

これらの脳内物質には、強力な興奮作用と同時に、「痛みを一時的に感じにくくさせる麻酔」のような極めて強い働きがあります。

そのため、体の内部(筋肉や靭帯)がどれほど深く傷ついていても、事故の現場では「どこも痛くない、怪我はない」と脳が錯覚してしまうのです。

時間差で現れる「炎症」の広がり

事故から数時間、あるいは数日かけて精神的な興奮状態が落ち着いてくると、アドレナリンの分泌が徐々に減少していきます。

それと反比例するように、体の中では傷ついた組織の周りで「炎症」が本格化し始めます。

火傷(やけど)は直後よりも、少し時間が経ってからジワジワと腫れて痛むのと同じように、交通事故のダメージも時間差で周囲の神経を激しく刺激し始めます。

これが、事故から2〜3日、あるいは1週間以上が経ってから、激しい首の痛みや関節の機能障害、頭痛などが次々と表面化してくる理由です。

 絶対に見逃してはいけない!事故後に現れやすい初期の危険兆候

 

事故直後の段階では「ちょっと首が凝るな」「少し違和感があるな」という程度であっても、放置すると重症化して後遺症になりやすい代表的なサインをご紹介します。

① 首が痛い・首が回らない(頸椎捻挫・むちうちの兆候)

交通事故で最も頻度の高い症状です。衝突の強い衝撃で、重い頭部を支える首が「鞭(むち)」のようにしなることで発生します。

首の骨(頸椎)の周りにある筋肉や靭帯が急激に引き伸ばされ、微細な断裂や出血を起こして炎症が生じます。

・朝起きたときに首の後ろや付け根、背中にかけて重い違和感があり、寝返りが打ちにくい

・車のバックや左右の確認をしようとしても、首筋が張って回らない、傾けると突っ張る

・首から肩にかけて、まるで重い石が乗っているかのように凝り固まる

② 肩が痛い・腕が上がらない(腱板損傷や、肩甲骨周りの筋肉を痛めている兆候)

追突を予期できずに、両手でハンドルを強く握りしめたまま衝撃を受けた場合や、シートベルトによって肩や胸が強く拘束された反動で生じる症状です。

・腕を上や横に上げようとすると、肩の周辺にピキッと軽い痛みが走る

・服を着替える、シートベルトを引っ張る、髪を洗うといった日常の何気ない動作で肩が痛む

・夜、寝ているときに痛む方の肩を下にして横になると、鈍い痛みが続いて目が覚める(夜間痛)

③ 背中の張り・腰の痛み(胸椎捻挫、腰椎椎捻挫の兆候)

衝突のエネルギーは首だけでなく、背骨全体を伝わって腰にも大きな負担をかけます。

シートベルトで上半身が強く固定されている分、衝撃を逃がすことができず、背中や腰の筋肉や関節に炎症を起こします。

・椅子から立ち上がるときや、前かがみになったときに腰にズキッとした違和感が走る

・背中の筋肉がパンパンに張り、背中に重苦しさを感じる

④ 手足のしびれ・ピリピリ感(神経根の圧迫の兆候)

首の骨の隙間からは、手や指先へと向かう重要な神経の束(神経根)が伸びています。

むちうちの衝撃によって頸椎の並びに歪みが出たり、周囲の組織が腫れ上がったりすると、神経症状が出てきます。

・肩から腕、肘、あるいは手の指先にかけて、ピリピリとした感覚や、じわじわとしたしびれの初期兆候がある

・手の感覚がなんとなく鈍くなり、箸が使いにくい、ペットボトルのキャップが回しにくい

⑤ 頭痛・めまい・吐き気(自律神経への刺激)

首の周辺には、脳へ血液を送る重要な血管や、全身のバランスを司る自律神経が密集しています。

これらがむちうちの衝撃で強い刺激を受けると、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、全身の強い倦怠感といった症状が現れます。

特に雨の日や低気圧の日など、天気(気圧の変化)によってこれらの症状が著しく悪化するのが大きな特徴です。

第2回のまとめ

交通事故による体のダメージは、あなたの想像以上に「遅れて」やってきます。

「大したことはない」と自己判断せず、体が発している小さなSOSのサインを見逃さないでください。

次回予告【第3回】体に違和感が出たとき、どこを受診すればいいのでしょうか?

整骨院(接骨院)と整形外科の違いは何でしょうか?

最終回となる第3回では、痛みが軽くても事故後すぐに「整形外科」を受診しなければならない、法的・医学的な重要性と、後遺症を残さないための正しいリハビリテーションについて解説します。

 

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お一人お一人に誠実で素直な心で対応し、人として当たり前の事を忘れることなく、患者様に真摯に向き合い最善の結果を得るため日々邁進しています。

監修

院長

松本 淳志Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • インフェクションコントロールドクター
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本整形外科学会
  • 日本感染症学会
  • 日本フットケア・足病医学会